協議離婚をする場合、離婚協議書を作成します。協議で決定した内容を果たさなかった場合を想定し、約束の履行に強制力を持たせるため、離婚協議書を公正証書として残すことを考えている方がいらっしゃいます。
この記事では離婚協議書の公正証書として残すことを検討している方のために、それをするメリット、その際の注意点、離婚協議書を公正証書として残す方法を紹介します。
離婚協議書を公正証書として作成することは、離婚協議で合意した内容を公文書化し、合意事項が守られる安全性を高めることができるのでおすすめします。
協議離婚で離婚する場合、離婚条件は夫婦で話し合い決定するのが一般的です。その離婚条件を書面にしたのが離婚協議書になります。
しかし、離婚協議書は約束事をまとめた書面に過ぎないので、万が一、元配偶者が養育費の支払いなど約束を守らない場合、その約束を守るよう強制する力はありません。
一方、家庭裁判所が介入する調停離婚では、慰謝料・教育費・財産分与などの金銭面を含む離婚条件が記載された公文書が作成されます。
協議離婚では金銭面を含む離婚条件を公文書として残す取り決めがないので、離婚協議書を公正証書として作成し、強制執行承諾文言を付ければ、慰謝料や教育費の支払いが滞ったならすぐに強制執行に移り相手の財産を差し押さえることも可能です。
離婚協議書を公正証書として残すなら次の4つのメリットが得られます。
離婚協議書を公正証書として残せば、離婚条件を口約束だけで決めた場合よりも、証拠能力を高めることが可能です。
公正証書を作成する際には、公証人が夫婦双方の意思を確認して署名・押印するのでその真実性が保持され、信用性が高い公文書となります。
したがって、離婚後にどちらか一方が「そんな約束はしていない」「そんな条件は認めていない」といって問題が起こることを回避することが可能です。
離婚協議書を公正証書として残せば、相手に離婚条件を守るように心理的圧力をかけることが可能です。
口頭だけの約束で離婚するなら、慰謝料や養育費の支払いについて「余裕のあるときだけ支払えばいい」「無視しても大丈夫」と考える元配偶者が出てきます。
しかし、離婚協議書を公正証書として作成すれば、以下の2つの理由から、相手に約束を履行するよう心理的圧力をかけることが可能です。
離婚協議書の公正証書として残すことにはこうした効果があるので、相手に離婚条件を守るよう心理的圧力をかけることができます。約束が守られる確率が高まるので、双方が安心できる取り決めです。
離婚協議書を公正証書として残す際に、強制執行認諾をすれば、慰謝料や養育費、財産分与などの金銭が合意通りに支払われないときに、すぐに強制執行がおこなえます。
合意通りお金が支払われないなら、相手側は生活に困ることになるでしょう。支払い責任がある側に督促してもすぐに支払ってくれない場合はなおさらです。
相手側に支払いの遅延があっても、すぐに強制執行できるのでお金の心配が軽減されます。
強制執行認諾の文例は以下の通りです。
第〇条(強制執行認諾)
甲は、第〇条第1項および第〇条の金銭債務の履行を遅延したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。
離婚協議書を公正証書として残せば、厳重に原本が保管されるので、書類の紛失や盗難、破棄や改ざんなどによる問題を避けることが可能です。
公正証書の保存期間は、公証人法施行規則27条で20年と定められています。
離婚協議書の公正証書として残すには時間と手間、費用がかかる点に注意してください。
公証人に公正証書の作成は公証役場で指定の手続きを経ておこなわれるので、ある程度時間と手間がかかります。さらに、費用負担が必要です。
離婚協議書を公正証書として作成するための手数料は、慰謝料全額・養育費・財産分与で受け取る金額などの合計(目的物の合計と呼ばれる)で決まります。
目的物の合計が100万円以下なら手数料は5,000円です。それ以上なら目的物の合計額にしたがって手数料は高くなります。
離婚協議書を公正証書として作成する際は以下の手順を踏みます。
手順の中でのポイントは、離婚協議書を完成させてから公証役場に出向くことです。
公証人の前で「そんな約束していない」と口論になることを回避できるでしょう。公正証書作成にかかる時間を短縮することが可能です。
離婚協議書を公正証書として残す際に必要な書類やものをまとめました。
公正証書を作成した後で離婚する場合、家族全員の情報が記載された戸籍謄本を持参してください。
公正証書を作成する時点ですでに離婚しているなら、夫と妻双方の離婚後の戸籍謄本が必要です。
この記事では離婚協議書を公正証書として残すメリットとその方法を取り上げました。
離婚協議書を公正証書として残すメリットは以下の通りです。
離婚協議書を公正証書として作成することにはいくつものメリットがありますが、配偶者の中には公正証書として残すことに反対する方がいらっしゃいます。
そうしたケースを含め離婚問題で悩みや相談がある場合は、法律の専門家である弁護士に相談・依頼してください。
離婚協議書の作成において相手側との交渉から離婚協議書を公正証書として残すところまでトータルでサポートしてもらうことができます。